お話を聞いた人
私は農業が大好きで、縁あって勝沼で農業の会社を起こしました。実家の母の姿勢がすばらしく、農業従事者としての誇りを持つことができた一方で、働く環境については厳しい面があると感じていました。
自分も子育てなどを経験し、育児との両立は簡単ではなかったので、まずは個人の成長や環境に配慮することが会社の成長に繋がると考えており、今のような取り組みを進めています。
「環境整備」「グループ活動」の2部門に採択されました。
環境整備では更衣室の新設(ロッカー、シューズボックスなども整備)、グループ活動ではドローン研修会の開催(3回)を行いました。
ドローンを使った栽培管理や農薬散布などは力仕事が減らせることもあり、女性に積極的に習得してほしい技術です。しかし通常のドローン講習会は高額なため、多くのスタッフに習得してもらえるよう、特別にカリキュラムを組んでもらいました。
ドローンは女性農業者にとってメリットが大きいのですね。機械を扱う仕事となると男性が多く行うイメージを持ってしまいがちですが、講習会などの機会があると身近に感じられて取り入れやすそうです。
更衣室を新設したことで、鍵もかけられるので安心して使ってもらえるスペースになりました。そのため、経営側も安心して人を受け入れられるようになりました。
最近入社した方は現在電車通勤ということもあり、着替えや私物なども置いてもらい、更衣室をしっかり活用してもらっています。他社の現場では更衣室などの整備が不十分なところもあり、ここでは快適に働けていると感謝されています。
一方、以前から勤務されている方は、着替えについては活用していますが、物の保管は自身の車などの方が落ち着くようです。
就学前のお子さんがいる家庭の方は、子どもとの時間をしっかり取れるように、また介護などの事情がある場合は家族の事情を優先できるような形を整えています。家庭の事情との兼ね合いは自分自身が経験してきたことでもありますし、一旦仕事を辞めてしまうと再度キャリアを積むことが難しい場合もあるので、働きたいというニーズがあれば、短時間でも働いてもらえるようできる限り柔軟に対応しています。
農業はそんなにかっちりしたものでなくても良いと思っていて、それぞれが活躍できる農業の現場で自己実現をしてもらえたら嬉しいです。
これまで当社では4名の女性社員を雇用し、ステップアップに向けた支援をしました。地域で農業塾を立ち上げたり、農家の方と結婚して農業を続けたりと、皆さんそれぞれの形で活躍しています。
女性のキャリアは子育てだけでなく、介護など含めた家族の事情に大きく左右されがちですよね。「家庭を優先しつつも仕事のキャリアを中断したくない」というニーズにも「独立に向けてしっかり経験を積みたい」というニーズにも柔軟に対応しておられて、三森さんの懐の広さを感じました。
私自身は、その地域では大きな農地を持つ農家の姉弟として育ちました。当時の小中学校の同級生は誰も農業を継いでいなかったので、少なからず危機感を持っていました。
農業の持つ環境維持・土地の保全・人の成長・人を作る産業として、子どものうちから農業の素晴らしさを伝えていき、農業者がもっと誇りを持てる産業にしたいと考えています。
会社としてはこれまで同様、経験を積む機会が欲しい方はできる限り受け入れて応援していきたいと思っています。自身もこれまでの活動を応援してきてくれた方がたくさんいて、それが自身のモチベーションにも繋がったので、まずはぶどうばたけで自分らしく活躍してもらいたい、それから独立などご自身のフィールドで頑張ってもらいたいと思います。
また、地域としての取り組みも大切だと思っています。山梨は都市部に近く、観光などで足を運んでもらいやすい一方、年間を通して人に来てもらう仕組みが不足しており、都市部の方と繋がるような活動を進めていきたいと考えています。
今の時代、男性だから、女性だからではなく、志のある方が自己実現をできる環境にあると思います。農業は日々積み重ねていかないといけないことが多く簡単なことではありませんが、志を曲げないで、ご自身のできる範囲で成長を続けていくと、地域でも受け入れていただく事ができるので、自分の目指している姿をきっと実現できると思います。
また、困った時には周りの方に相談できる環境を作ることも大事だと思います。頑張ってください!