#6 食をトータルで考えられるのが、農業。会社と家族のちょうどいい繋がりを、畑で育むトマト農家【in 岐阜】

お話を聞いた人

寺田真由美(てらだ・まゆみ)さん
寺田真由美(てらだ・まゆみ)さん

代表取締役

21歳で結婚により非農家から農業の道へ進み、2010年にトマトの栽培・加工・販売で法人化。2013年、代表を務めていた夫との死別後、自らが代表となる。中学生の子を持つ母親の視点も活かしながら、仕事と子育てを両立できる環境作りや人材育成、地域活性化にも精力的に取り組んでいる。

女性が働きやすい環境をつくろうと思ったきっかけは、どのようなことでしたか?

女性スタッフが多いこともあって整理整頓含めて配慮があり、自分が率先して、というよりもスタッフ皆で環境を整えてきたと思っています。整理整頓に関してはどちらかと言うと、指摘を受ける側かもしれません(笑)。
また、私自身が子育て中ということもあり、子育て世代の気持ちを理解してあげたいという気持ちは人一倍持っています。お子さんのいないスタッフにも、理解してもらえるように話をしています。

「社長、ちゃんと片づけてくださいね!」と言ってもらえる関係性が素敵ですね。ともに会社を作り上げてこられた雰囲気が伺えます。

「令和3年度 女性の就農環境改善緊急対策事業」ではどのような取り組みを実施していましたか?

①休憩スペース、託児スペース、更衣室を統合した設備の設置
②先進農家への視察、勉強会の開催(5回) 
の2つです。①についてはトマトの出荷最盛期の夏場、涼しく過ごせる場所としてスタッフからも喜ばれています。②の視察は北軽井沢の農家に訪問し、2次産業・3次産業と紐づけて冬にお客様を呼び込む工夫を学んできました。

環境改善の取り組みへの従業員の皆さんの反応、よかったこと、まだ課題だと感じることがあれば教えてください。

スタッフからも概ね好評です。休憩スペースは開かれたところにあるので、休憩だけでなく、打ち合わせなど社員交流の場としても活用されています。土足で入りづらいところは今後改善していきたいです。また、今回給排水設備の条件などでトイレの整備を断念したのですが、こちらも今後取り組んでいきたいです。

補助事業で整備した休憩スペース(兼更衣・託児スペース)
女性が働きやすい環境について、具体的にどのような環境をつくられているのか教えてください。

育児休暇や、子育て中の方が子供の行事に参加するための休日の取得、夏休みなどどうしてもの際の子連れ出社などを認めています。自身の子育て経験を踏まえながら、単に制度を整えるだけでなく、状況に応じて柔軟に対応しています。
子連れ出勤の際は、お子さんに仕事を手伝ってもらうこともありますね。
この職場が、会社と家族のちょうどよい繋がりをつくる場になれば良いなという気持ちでいます。

子連れ出勤の様子
どのような思いで現在のご自身の事業をすすめられているのか、きっかけや思いなどを教えてください。

会社の指針としては「食卓に新鮮で安全なおいしさを届けたい。子供たちを“おいしい笑顔”にするものづくりをしたい」という思いを持っています。女性が仕事と子育てを両立しやすい環境作りや、地域農業の発展・後継者育成についても取り組んでいます。
 
ちなみに、スタッフは人の繋がりを通して集まっていただけることが多いのですが、「自分たちの思いに共感していただけるか」を採用の際には重要視していて、プライベートなところも掘り下げて話を聞いています。まだ体制が十分整っているわけではないので、ともに作り上げていただける方と一緒に働きたいと思っています。

今後、ご自身の農場や会社をどのようにしていきたいか、ビジョンがあれば教えてください。

農業と言われる仕事の枠を広げることで「生産物を作るだけが農業じゃない」と思ってもらえるような会社にしていきたいです。農業を通じて、おいしい、景観を守るという気持ちを持ち、暮らしやすい町にすることで農業の魅力と可能性を高めていきたいと思っています。
 
直近での取り組みは2つあります。
1つ目は子どもたちに農業の魅力を伝えられるよう、旅行会社と組んだ体験ツアーや食育・農育の活動を行っています。将来的には修学旅行の受け入れなどもできればと思います。
 
2つ目は「農家レストランをやりたい」と前々から言っているのですが、こちらは実現までに時間がかかるため、キッチンカーで移動販売での出店を行いながら、ファンを少しずつ増やしていきたいと思っています。

これから農業をキャリアの選択肢として選ばれる方へ、メッセージをお願いします!

自分がずっと思ってきたことでもありますが、農作業だけが農業じゃない、企画や販売などもキャリアの選択肢だと思ってもらいたいです。食をトータルで考えて、そこに関わること全般が農業だと捉えてもらえると嬉しいし、仕事の幅が広がるのではと思います!

寺田さんご自身もこのメッセージ通りの農業を体現されていて、とても説得力があります!ありがとうございます。

ミニコラムMini Column

フレンドリーな交流に満ちた寺田農園の日常

「社内の雰囲気はフレンドリーな感じで、皆仲良くやっています。例えば、気づいたら農園のステッカーができていたり、自主的にマルシェに個人の機材が持ち込まれていたり、私物が事務所のあちこちに飾られていたり。」

「単に制度を整えるだけではなかなかできないことですよね!」

「また、スタッフの家族にも仕事のことを理解してもらいたいという思いがあって、参観日を設けたりバーベキューを開催したりして、子どもが親の仕事を見てもらう機会を作っています。」

「お子さんもご家族も、とても喜んでもらえそうですね。素敵な取り組みです。」

「他には、トマトの収穫作業中に聞く音楽をスタッフがそれぞれ選んで、ハウス全体に流したりもしています。先日は夏の初収穫だからと「真夏の果実」(※サザンオールスターズの曲)を流したり、暑すぎるから涼しくなりたいと怪談話が流れていたことも・・。」

「それは・・暑いのか寒いのか、何とも言えない感覚が楽しめそうですね(笑)フレンドリーな雰囲気、すごく伝わってきました!」

私たちの「農場なんでも自慢」Proud of the farm

【1枚目】畑から見える全貌、畑から見る夕焼け、四季折々の音、空気、景色【2枚目】トマト一押しの食べ方。ドライトマト、おすすめです。デスクワークでおやつ代わりに食べてみてください!看板商品のトマトジュースを使ったそうめんもおすすめです。<写真は寺田農園の看板商品「とまじゅう」シリーズ>

編集後記

終始とても明るく、ハキハキとインタビューに答えてくださった寺田さん。

新しいアイデア、楽しい取り組みが次々と浮かんでくる様子が伝わってきて、こちらも前向きな気持ちになれました。食育・農育の体験やキッチンカー、将来の農家レストラン開店も楽しみにしています!

基本情報

グループ名・事業者名
株式会社寺田農園
所在地
岐阜県高山市丹生川町
URL
https://teradafarm-hida.com/
活動概要・事業内容
【主な事業】トマト・農産物の加工製造 【品目】トマト
設立年
2010年
メンバー数・社員数
11名