お話を聞いた人
「かみかみごはん」を始めるまでにいろいろな活動を経て、今の形にたどり着いています。もともと、15年以上前に長女が重度アレルギーを患ったこときっかけに自然農を学び始めました。その後、アレルギーへの対応として様々なことを調べる中で「嚙むことの大切さ」に気付き、それを広める「カム会」という活動も並行して行っていました。
同時期に、自然農を実践する場を探していたところご縁あって現在の「照乃ゐゑ」がある土地(大阪府豊能郡能勢町)を取得することになり、自然農とカム会を合わせた活動を始め、この活動から「かみかみごはん」が生まれました。
「照乃ゐゑ」に通うようになり、地域を取り巻く高齢化・少子化・空き家問題などが目に付くようになりました。地域の担い手も高齢になってきており、前期高齢者が、多くの田んぼの担い手となり、後期高齢者を支えています。「照乃ゐゑ」に来る親子は、農村の空気のおいしさや、田畑の楽しさ、地球と子供を大切に思う同じ価値観の人と過ごす安心安全の心地よさを体感していますが、この地域に来るためには、雇用の問題、家族の理解の問題があると感じています。
さらにコロナの時代になり、より健康的な暮らしをする必要性を感じ、開放的な場所で人と繋がり、咀嚼を推進し、健康で幸せに過ごすお手伝いをしたくなったので、この地域で活動をさらに広げたいと思うようになりました。
松岡さんはお住まいのある大阪府池田市から活動のために「照乃ゐゑ」に通っておられて、能勢町はこれまでゆかりのなかった地域なのですよね。その中で地域の方にも広く応援してもらえる関係作りをされていることが素晴らしいです!
能勢町の地域の方と関係を深める中で、「照乃ゐゑ」の活動の幅をさらに広げたいと思っていましたが、アイデアはありつつも金銭的な問題があり、実行できずにいました。そんな中、今回の補助事業に応募し採択されたことで、思い描いていた内容を一気に前に進めることができました。
補助事業ではカフェに付随する休憩スペース等の設備を導入しましたが、カフェ本体については別途クラウドファンディングを行い、資金を調達しました。
A. 当グループでは「環境整備」「グループ活動」との2部門に採択され、
環境整備では更衣室、休憩スペース、浴室の設置、
グループ活動では一般社団法人の設立、視察(4ヶ所)、試作品開発、視察先の女性が活躍する農業者グループとの打ち合わせ(1回)を行いました。
さまざまな活動に取り組みましたが、特に千葉県にある「ブラウンズフィールド」に4名で視察に行ったことが良かったです。仲間と行くことでコミュニケーションが取りやすく、いろいろ相談したり、アイデアが出やすかったですし、その後の活動の広がりも生まれました。
課題と感じることは、農業だけでは収益の確保が難しく、金銭的に運営が難しいことと、家庭の状況によって、活動やモチベーションが左右されることです。
大前提として、任意で行う活動だからこそ、一番に自分と我が子の笑顔を大切にする必要性を伝え、正直に何でも相談すること、自分や家庭を優先してもらうようにしています。
「子どもと地球が笑う」というコンセプトをまずは自分たちが体現してほしいと考えています。
他には、子どもと一緒に農作業して泥だらけや汗をかいても大丈夫なように、浴室と更衣室を整備すること。深いコミュニケーションがとれるようにアイビーマッピングという手法でコミュニケーションを取ること。アレルギーの人でもみんなで一緒の食べ物が食べられる環境を用意すること、などを心がけています。
「かみかみごはん」では、子どもと地球が笑う、農に繋がったご飯を中心に、咀嚼を推奨しておいしい楽しい環境を体験できる場を提供する活動をしています。
妊娠時より、その体験をしてほしいという想いから、7月7日には助産院「ubuyamomo」を開院しました。また、9月27日には地域でとれた野菜を使い、みんなが笑顔で食卓を囲めるようにアレルゲン除去をした自然食カフェをオープンします。将来的には、このような取り組みを他の不耕作地にも広げていけたらと思っています。
中長期的な取り組みとしては、農業体験のときに課題となる交通手段についてもアプローチする予定です。たとえば、阪急池田駅から、マイクロバスで農体験をしたい人(親子も含む)を送迎し、都市部に住んでいる人にも農に親しんでもらえるようにしたいと思っています。
試行錯誤しながら活動を続ける中で、かみかみごはんの理念を以下のように定めています。
「私たちは自然に生かされている、自然の一部です。私たちは自然と人と繋がって、子どもと地球が笑う農をし、大地に繋がったごはんを中心に咀嚼を推奨して、おいしい楽しい、万物が大調和した世界をそうぞうします。」
(その他、活動宣言も細かく定めていますので、良かったらFacebookのリンクから覗いてみてくださいね!)
まだまだ、私たちも駆け出したばかりです。運営という面では素人ですが、仲間とああだこうだと言いあい、共通の目標に向かって進むことは、とてもありがたく、幸せを感じながら活動をしています。
都会のビルの中ではなく、自然の中で活動できる農業という仕事は、私たちにとって心地良いものです。また、大切な時期の子どもたちとともに、子どもと地球が笑う活動ができることは気持ちがよく、実際に子どもが笑う姿やお母さんたちが笑う姿を見ると、やっていてよかったなと思います。まだまだ可能性は無限大。焦らず、ゆっくり、喜びながら、少しずつ、自然とともに、仲間とともに、作っていきます。ぜひ皆さんも自分らしい農との関わり方を見つけてもらえたら嬉しいです。