#4 お客様がより近くに感じられる農園を目指して。【in 栃木】

お話を聞いた人

澳原大介(おきはら・だいすけ)さん
澳原大介(おきはら・だいすけ)さん

代表取締役/栽培管理、販売管理

栃木県にある「澳原いちご農園」の代表。東京の大学卒業後、新卒で愛知のフットサルチームの会場運営・イベント企画等のお仕事を経てUターンし、父のハウスの一部を譲り受け、いちご農家として独立。30 aまで規模を増やし、直売所のオープンやスタッフの通年雇用に向けて取り組みを進めている。

「R3女性の農業活躍推進事業」ではどのような取り組みを実施していましたか?

男女別水洗トイレの設置を行いました。

環境改善の取り組みへの従業員の皆さんの反応、よかったこと、まだ課題だと感じることがあれば教えてください。

収穫が終わるタイミングで全員に振り返りアンケートを書いてもらっているのですが、労働環境という項目でトイレの整備が良かったとの声が多く挙がりました。
ちなみにトイレ以外では「ハウスの入口に冷蔵庫が欲しい」「駐車場の見通しを良くしてほしい」「(ハウスが暑くなるため)早出出勤を希望」「休憩所にロールスクリーンが欲しい」「会社のウインドブレーカーを制作してほしい」などさまざまです。すぐにはできないものもありますが、なるべく意見を反映したいと思っています。

直接は言いづらいことでも、アンケートを取っていただけると伝えやすくて助かりますね!

アンケートを反映して改善された箇所:ハウス前が土から砂利道になり、作業性がよくなりました
女性が働きやすい環境について、具体的にどのような環境をつくられているのか教えてください。

シーズン終わりにアンケートを取って細かな要望は都度反映していますが、その他、最初は希望のシフト量よりやや少なめに入ってもらい、余裕を持ってローテーションを組むことを心がけています。体力のいる仕事なので、思っていたよりもしんどかったという場合もペースを整えやすいですし、突発の仕事にも柔軟に対応してもらいやすいです。

どのような思いで現在のご自身の事業をすすめられているのか、きっかけや理念、思いなどを教えてください。また、農業界に対して「もっとこういう農業界にしたい」という思いがありましたら、教えてください。

注文いただいているお客様を大切にして、おいしいと言ってもらえるいちごを全国に届けたい、またいちごを通じて農福連携や食育活動など、地域に貢献できるようなことをしていきたいと思っています。
食育については、子ども向けの企画を前職からやっていたので、今度はいちごを使って何かできたらと思い始めました。農福連携については、就労支援施設に箱折りや伝票などを委託していますが、施設利用者の皆さんが楽しくイキイキと働いているという声を聞いて、お願いしたこちらも嬉しい気持ちになります。

女性が働きやすい環境をつくろうと思ったきっかけは、どのようなことでしたか?

「女性だから」ということはあまり意識していなかったです。女性男性に関わらず、経営者の立場として従業員が働きやすい環境を作ることは最低限必要だと思い、取り組みました。やはり来てもらったからには長く働いてもらいたいですね。

今後、ご自身の農場や会社をどのようにしていきたいか、ビジョンがあれば教えてください

栽培規模はこれくらいにして、直売に力を入れて、お客様の顔がより近い農園を目指したいと思っています。直売所を作ることと、スタッフの通年雇用にも取り組んでいきたいです。

これから農業をキャリアの選択肢として選ばれる方へ、メッセージをお願いします!

体力のいる仕事でもあるし、知識もいるし、大変なところはありますが、お客さんの声が直に聞けて、とてもやりがいのあるおもしろい仕事でもあります。始めてみると皆さんもこれまで知らなかった新たなおもしろさを見つけていただけるかもしれません。

ミニコラムMini Column

最初は本意のUターンじゃなかったけれど・・。

フットサルチームにお勤めの頃の澳原さん

Uターンしたきっかけは、父が病気になり、農園を手伝わざるを得なくなったことでした。前職のフットサルチームの仕事が楽しくもっと働きたいと思っていたので、辞めることは本意ではありませんでした。けれどUターンして間もない頃、東京でのマルシェに参加して、お客さんの反応が直に感じられて、とても楽しかったんですね。それがきっかけで農業もいいなと思えるようになり、販路を増やしたり、独立したりと気が付けば10年近く経っていました。また前職を振り返ってみると、企画運営・集客・全体を統括する力や、何でも前向きに楽しむ姿勢が今の仕事にも活かされていると感じます。

仕事については、ハウスの規模拡大がひと段落したので、これからは直売所に力を入れて、お客様の顔がより近い農場を目指したいと思います。地に足の着いた、地域の人に必要とされるような活動をコツコツ続けていきたいと思っています。

「人との交流ができること」が澳原さんのモチベーションなのですね。直売所のオープンを楽しみにしています!

 

 

私たちの「農場なんでも自慢」Proud of the farm

いちごのなったハウス。いちご栽培で大切だと思うことは「すべての作業を適切な時期に行うこと」です。おいしいと言ってもらえるいちごができるよう、人の配置や工程の組み方を工夫しています。

編集後記

「男女関係なく、従業員が働きやすい環境を作ることは最低限必要」という言葉が印象に残りました。また、全体を統括する力や子ども向けの体験など、前職のご経験や興味関心が今のお仕事に活かされていることがお話の端々から伺えました。今後もますます地元の方に必要とされる農園になられるだろうと感じました!

基本情報

グループ名・事業者名
澳原いちご農園
所在地
栃木県矢板市豊田1448
URL
https://oki15.com/
活動概要・事業内容
【主な事業】生産(直接販売、道の駅、ネット販売など)【品目】いちご
設立年
2018年11月1日
メンバー数・社員数
最大約14名(時期によって異なる/正社員1名)