[column6]自分たちの畑やお店を通して、心と身体の健康を「美」につなげていきたい

執筆者プロフィール

浅野美奈弥あさの・みなみ

平成3年3月3日生まれ。北海道出身。

ケータリング、ロケ弁、レシピ開発などを行う「株式会社美菜屋」代表。

学生時代からモデル活動を始め、現在も広告やLOOKなどを中心に幅広く活躍。

女性限定のランニングコミュニティ「GO GIRL」 の主宰も務め、

これまでにフルマラソンを9回完走した経験を持つ。

 

2022年9月には、茨城県笠間市の「笠間クラインガルデン」内にて、

美菜屋が運営する農園レストラン「Take me farm.」をオープン。

 

<インスタ>

https://www.instagram.com/minami_asano/

https://www.instagram.com/minayainc/

「心と体が健康でいることが一番の美につながる。」

今、私が心から感じていることです。

17歳からモデルの仕事を始め、大学卒業後もモデルとして活動してきましが、26歳の時に過度な食事制限やストレスにより体調を崩したことをきっかけに、食と健康について深く考えるようになりました。

「ちゃんと食べて運動をすることで健康で美しくなりたい」と思い、料理家さんのアシアスタントを経験したり、独学で食に関する資格を取ったりと、今までの食生活そのものも見直しました。そうすることで、美と健康の軸を作ろうと考えたのです。

同時期に、お仕事でフルマラソンを走る機会があり、完走したことで今までモデルの仕事では味わったことのなかった達成感を味わったのと同時に自信が付きました。

 このような経験から、自分で事業をやってみようと決断したのが2019年。「美しい”菜”を食べる。”菜”を食べて美しくなる。」をコンセプトに、ケータリングサービス「美菜屋」を始めました。

ケータリングという形態を選んだ理由は、今まで自分が関わった撮影などの現場に還元したいという気持ちがあったことと、忙しい業界の人たちや、同業のモデルさんやタレントさんに、1日の中の1食でも栄養バランスの整った食事をとってもらうことで、美と健康のサポートをしたいと思ったからです。

実際に、私が食生活を見直して運動を始めたことで、代謝が上がって太りにくくなったり、顔色が良くなって肌が綺麗になったり、精神的にも前向きでプラス思考になったりと、心身ともに健康になっていくのを実感していました。

ケータリングの事業を始めて4年。 2022年9月に、茨城県笠間市にある滞在型農園施設「笠間クラインガルテン」内に、農園レストランをオープンしました。

 施設からお声がけいただいた当初は、美菜屋でのケータリング業がとても忙しく、ありがたいことに1日平均100食以上のお弁当を毎日作っている状況でした。ですので、「2店舗目を運営するなんて今は無理!今回はお見送りしよう。」と思っていたのですが、一度現地を見てみたいという気持ちもあり、スタッフを連れて訪れてみることにしました。

ところが実際に現地に行って、その土地の空気、環境、雰囲気に一目惚れ。現地で、スタッフみんなのテンションが爆上がりしたことをよく覚えています。 それまでの弱気な気持ちは一瞬で吹っ飛び、「ここでレストランと野菜作りをやりたい!」という気持ちに変わったのです。

「ここでなら、お弁当やレストランで使う野菜を、実際に自分たちの手で作り、開業時からのコンセプトである『美しい”菜”を食べる。“菜”を食べて美しくなる。』を、より深く伝えていくことができる」と、オープンすることを決意。スタッフや周りの方たちの協力もあり、2022年に無事オープンすることができました。

さて、同時に野菜作りをスタートしたのですが、農作業初心者の私はまず服装から間違えていて、ショートパンツで畑を耕してブヨに刺されまくったことも。「畝」や「マルチ」という用語も知らないし、農機具のエンジンもかけられない。炎天下の中で作業して熱中症になりかけたり、1週間ほど目を離したすきに畑が雑草でボーボーになっていたり、やっと種を撒けたと思ったら雨で流されたり…。

こんな大変な作業を、農家の方たちは毎日やっていて、しかも高齢化が進む中、おじいちゃんやおばあちゃんも当たり前のように作業している。そのすごさが身にしみてわかりました。 そのおかげで私たちはご飯を食べられるし、お弁当作りをすることができる。「農業ってめちゃくちゃかっこいい!」と、生産者の方に対するリスペクトが生まれました。

施設の方のサポートや地元の人のアドバイスもあったおかげで、なんとか野菜が育ち、収穫できたときの喜びは大きくて、食べものに対して今まで以上に感謝するようにもなりました。

自分たちで野菜を育てることによって、自分も含め、働くスタッフのみんなに「食べ物を無駄にしない」という意識が生まれました。レストラン運営や野菜作りに関して、まだまだ課題はたくさんあるけれど、あの時オープンする決断をして本当によかったと思います。

「美菜屋」を始めてから、飲食店で出るフードロスについて考えさせられることが増えていました。

なにかできないかなと考え、当たり前のように捨てていた野菜の部分を調理し「地球に優しく」という意味を込めて「アース弁」というお弁当を作ったり、皮や芯で出汁を取ったり、食べられる部分は賄いで美味しくいただいたり。

畑で野菜作りをはじめてからはさらに、食べ物のありがたみとその重要性をますます肌で感じるようになりました。

都会にいるとなかなか経験できないことの一つに、「土に触れる」ということがあります。これができるのも、野菜作りを始めてよかったと思えることのひとつです。

「アーシング」という言葉を最近よく聞くようになりました。肌が大地に触れることで、体や心が軽くなったり、不調が治ったり、良いマインドが生まれたりすると言われています。実際に私も、農作業をして土に触れていると、疲れているはずなのになぜかすごく元気になったり、イライラしなくなったりと、その効果を実感しています。

「心と体が健康でいることが一番の美につながる。」

私たちのレストランや畑という場所を通じて、この土地に遊びに来たり、農業体験をしたり、新鮮な野菜の美味しさを知ってもらったりすることで、都会の若者や、美意識の高い人たちが、もっと気軽に農業と向き合うきっかけをこれからも作っていきたいです。

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